京都二条にある、こだわりのワイン・シャンパンがグラスで飲める「BAR MIDORI」

パイパー・エドシック

スペック

【生産地】  イギリス、スコットランド北部、テイン

【度 数】  40〜46

【関 連】  Glenmorangie

グレンモーレンジの歴史

「大いなる静謐の谷」

Tain

繊細なモルトとして知られるグレンモーレンジは、スコットランドで最も愛飲されているモルト・ウィスキー。
蒸留所があるのは、スコットランド北部の荒れ高地「ハイランド」の海岸沿いの小さな町テイン。
周囲には、「大いなる静謐の谷(グレンモーレンジ)」という名前の由来どおり、峡谷(グレン)や湖が点在しています。


テインは古くからの巡礼地として栄え、銀職人の町であり、ビール造りやレモネード造りでも知られる歴史のある地です。
かつてテインでグレンモーレンジを興した男たちは、「テインの十六人の男」と称されています。

密造から世界最高峰へ

スコットランドでは17世紀からウィスキーを造ってきましたが、大英帝国への併合などによって課税や個人蒸留の禁止などが行われました。
そのため、テインの人々は18世紀にはモーリンジ牧場などで密かに蒸留を行うことで伝統を維持してきました。


グレンモーレンジ蒸留所は、ウィスキーの蒸留が合法化された後の1843年に、ビール工場を改装して創業されました。1920年にはグリンマレイ(ハイランド・スペイサイド)蒸留所を買収するなど、順調に発展してゆきます。
1930年代には、スコットランド北部出身者がいる場所であれば、スコットランドやイギリス本土のみならず、ヨーロッパやアメリカでもグレンモーレンジが売られるようになりました。


蒸留所の経営母体は「マクドナルド&ミュアー」という会社でしたが、1996年には「グレンモーレンジ」と社名を変更しました。
翌1997年には、アイラ島のアードベッグ蒸留所を買収、再興させ、3つの蒸留所を運営することになります。


2004年、グレンモーレンジ社はルイヴィトン・モエ・ヘネシーグループに買収され、経営方針を一新しました。
現在、グレンモーレンジのウィスキーは、シングルモルトとして英国内で2位、世界では6位の出荷量を誇ります。

常識にとらわれないウィスキー

グレンモーレンジの製法の特徴として、まず硬水を用いることが挙げられます。
一般にウィスキーの仕込水は軟水(硬度178以下)でなければならないとされています。
しかしグレンモーレンジでは、近傍のターロギーの泉に湧出する硬度190の硬水を使用しています。
本来ならウィスキーに適さない硬水ですが、ターロギーの泉の水はミネラル分が大量に含まれるため、グレンモーレンジを風味豊かなものにしているのです。


蒸留に際して、スコットランドで最も背の高いポットスティルを用いていることも大きな特徴です。
というのも、ウィスキー用ではなくジン用のポットスティルを使用しているため。
これは、グレンモーレンジの創業者であるウィリアム・マセソンが、創業時の資金不足から、ロンドンでジンの蒸留に用いられていた中古のポットスティル2基を購入して使用したことに由来します。


このジン用のポットスティルは、5.13メートルという煙突のように長い形状をしており、純度の高いアルコールのみを蒸留する効果がありました。
これによって原酒は軽いテイストに仕上がり、グレンモーレンジの芳香を豊かにするという思わぬ作用を生んだのです。


グレンモーレンジでは、このジン用のポットスティルを用いることを伝統とし、その後の増設の際にも全く同じ形状のものを制作しています。
1970年代まで2基だったポットスティルは、1980年に4基、1990年には8基に増設されました。
現在は更に倍の16基へ増やすことが検討されています。

樽への情熱

デザイナーズ・カスク

熟成の樽にもこだわるグレンモーレンジ。
熟成に用いるバーボン樽は、「デザイナー・カスク」と呼ばれるオリジナルのもので、アメリカのミズーリ州オザーク山のアメリカン・オークの原木を自社で一本づつ選んで作っています。
この樽は「アーティザン・カスク」や「アスター」という名前で製品化もされています。
製樽した樽は、4年間ミズーリ州にあるジャック・ダニエルに貸出し、それから自社のウィスキーの熟成に用いるという、一風変わった活用をしています。


また、グレンモーレンジは樽での熟成についての研究を化学的に行っており、その知識に裏付けられた技量はスコットランド随一と言われています。

ウッド・フィニッシュの先駆者

ウッド・フィニッシュの先駆者としても名を馳せるグレンモーレンジ。
ウッド・フィニッシュのウィスキーは、一般には蒸溜し加水した原酒をバーボン樽で10年ほど熟成させた後、最後の1、2年ほどをワインやシェリー酒、ラム、ブランデーなどの樽で寝かせます。
この手法は「ダブル・マチュアード(二段熟成)」とも言い、出来上がったウィスキーの風味に驚くほどの差異がもたらされます。


グレンモーレンジの「ウッド・フィニッシュ」シリーズは、シェリー、ポート、マディラ、バーガンディの4種が知られています。
それぞれシェリー酒、ポートワイン、マディラ(強化ワイン)、バーガンディ(ブルゴーニュワイン)の樽でフィニッシュさせたものです。
日本では特にシェリーとポートが多く輸入され、愛飲されてきました。

エクストラ・マチュアードとしての再出発

Before After

イギリス・ハイランド発祥の老舗蒸留所だったグレンモーレンジは、フランスの高級ブランドに経営が移ったため、ブランド戦略に大きな変化がもたらされました。
2007年8月、それまで「10年」と呼ばれていた定番品は「オリジナル」と名を変え、「18年」と「25年」を残して「15年」と「30年」は姿を消しました。


ブランドを代表する「ウッド・フィニッシュ」シリーズも、「エクストラ・マチュアード」シリーズと名を変え再編されました。
それまでのマディラとバーガンディは姿を消し、代わりに「ソーテルヌ」(ソーテルヌ・ワインによるフィニッシュ)が加わって、シェリー、ポート、ソーテルヌの3つのシリーズとなりました。
さらに、シェリーは「ラサンタ(情熱)」、ポートは「キンタルバン(ルビー色の葡萄)」、ソーテルヌは「ネクター・ドール(黄金の果汁)」との愛称も付けられることとなりました。


MIDORIお勧めのグレンモーレンジは、「キンタルバン」ことポート・ウッド・フィニッシュです。
ポルトガルのポートワインの樽で熟成させたもので、スパイシーで複雑な風味とフルーティーな香りが絶品です。
この「アメリカの樽で作られポルトガル産ワインで風味づけられたスコットランドのウィスキー」を、ぜひMIDORIでお試しください。

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