京都二条にある、こだわりのワイン・シャンパンがグラスで飲める「BAR MIDORI」

カロン・セギュール

スペック

【生産地】  フランス、ボルドー地区、サン・テステフ村

【度 数】  13

「わが心にカロンあり」

ハートのワイン

セギュール侯爵

ハート型のシャトーのエッチングとクリーム地に赤い文字というラベル。
ボルドー・ワインの中でも、その印象的な外見から、 バレンタイン・デーやカップルのイベントなどで飲まれるることが多いのがカロン・セギュールです。
そのハートのマークの由来は、18世紀にまでさかのぼります。


カロン・セギュールのシャトーを18世紀に所有していたのは、ニコラ・アレクサンドル・ド・セギュール侯爵(1697〜1755)。
セギュール侯は格付一級の4大シャトー(現在は5大シャトー)、 ラトゥールとラフィット・ロートシルトなどを保有していましたが、 これらの葡萄畑より格段に評価の低かった「カロン」に最も愛情を注いでいました。
セギュール侯は、カロンへの想い入れから「われラフィットを造りしが、わが心にカロンあり」との言葉を残したと言われています。


当時は「カロン」であったシャトー名を「カロン・セギュール」と変更したのもセギュール侯。
後にラトゥールとラフィット・ロートシルトは手放したものの、カロン・セギュールだけは手元に残しました。
そうしたセギュール侯のカロン・セギュールに対する愛情の証として、ラベルをハートで飾るようになったのです。

最北端の格付けシャトー

サン・テステフ村

カロン・セギュールのあるボルドー地方サン・テステフ村(St. Estephe)は、 大西洋に流れるジロンド川の左岸に位置します。
この土地は数メートルもの砂礫で覆われ、水はけがよく葡萄栽培に適しており、 13世紀から栽培されていたとの記録もあります。
砂礫の下は、鉄分を多く含有する石灰岩となっており、この成分が葡萄のタンニンを増やすため、 サン・テステフ村のワインは重く風格のあるテイストになります。


シャトーはサン・テステフ村の最北端にあり、格付けシャトーとして最も北に位置します。
この土地の冷涼さから酸がしっかり残り、強いタンニンと共に独特の味わいとなります。


土地のルーツは大変古く、 元はローマ時代の帝国領ゴール(現フランス)に存在していたデ・カロネスという集落でした。
その集落が「カロン」と呼ばれだしたのは、古語で「木」を意味する言葉がカロンであり、 ローマ兵の材木運搬用の船もまたカロンと呼ばれていたからだとか、 12世紀に集落がポワティエの司教カロン卿に贈られたから、といった説があります。

セギュール侯からガクストン家へ

カロン・セギュール

近代の18世紀になり、ボルドー議会の議長だったマルキ・ド・セギュール侯爵が、 義父の所有であったカロン・セギュールを継いだことが、躍進の始まりでした。
セギュール侯の愛情により育てられたカロン・セギュールは、 彼の没後に従兄のアレクサンドル・ド・セギュール・カロンによってシャトーが建てられ、現在の礎が作られました。


アレクサンドルの息子によって1778年に売却されたカロン・セギュールは、 畑の改良と拡張が行われ、さらにワインの質が向上します。
また、カロン・セギュールから派生して後の「シャトー・モンローズ」(二級)が生まれました。
その後、1824年に再度売却されたカロン・セギュールは、 1855年に設定された等級で「三級」と位置付けられ、この等級が現在まで続いています。


そして1894年、現在のガクストン家に売却されました。
前オーナーのフィリップ・ガクストン氏は1995年に死去し、現在は 妻のカベルン・ガクストン夫人がオーナーとなっています。
ガスクトン夫人も居住するシャトーの建物は、アレクサンドルが建てたままの白塗りの壁と黒い丸屋根、 そして二つの塔という風格のある外見をしています。

カロン・セギュールの味わい

一流の「三級」品 

カロン・セギュールは、ボルドー地方サン・テステフ村の中でも、 特に酸味と渋味が豊かなワインとして知られています。
ボルドー・ワインの5段階の等級分けの中では、三級と位置付けられています。
そのため、近隣で造られる二級のシャトー・モンローズやコス・デストゥネルより安価に入手できます。
しかし、そもそもこの等級分け自体が、1855年に定められて以来ずっと固定されたままのものですので、 カロン・セギュールの現在の質が一級品、二級品の後塵を拝するというわけではありません。


近年のカロン・セギュールは一貫して良質なワインを造っており、 19世紀に定められた等級やそれに基づく価格以上の質であると言われています。
著名なワイン評論家のロバート・パーカー氏も、 「一級シャトーと肩を並べるほどの潜在能力を持っている」と著書で述べています。
最近では、俳優のジョニー・デップが、カロン・セギュールをお気に入りのワインだと語っています。

熟成までの時間

日本ではファッション性からプレゼントやイベント用として人気のあるカロン・セギュール。
しかし、実際に口にしてみると、酸味や渋味が強すぎて期待外れと思われるかもしれません。
と言うのも、一般にサン・セステフ産のワインは瓶熟に長い時間を要するため、 飲みごろまでに待たないと酸やタンニンが調和しないのです。


熟成させるためには、短くても7年、できれば10年は必要とされています。
カロン・セギュールは、その軽そうなイメージとファッション性による人気からヴィンテージものが少なく、 飲み頃のものが手に入りにくいという皮肉な状況になっています。


しっかりと熟成の進んだカロン・セギュールは、次第にまろやかさと洗練さを備えます。
味わいは濃厚な果実の香りとタンニン由来のどっしりと重い風格が完全に調和し、力強くエレガントものになります。
そのため、熟した果実のみならず、革や杉にも例えられる豊かな芳香が生み出されます。

カロン・セギュールの100年

ガクストン家の所有となった19世紀末からカロン・セギュールは実力を伸ばし、 1920年代には格付け一級のシャトーに匹敵するという評価を受けるようになりました。
当時のオーナーがかつてのセギュール侯のような情熱を傾け、伝統的なワイン造りを追求したためです。
そして世界大戦を経て、1945年から1953年までも数年ごとに極めて上質なワインを造り、 他のシャトーの追随を許さない存在となりました。


しかし50年代から70年代まで、カロン・セギュールの質は低下します。
酸味や渋味が強すぎるだけでなく、カビ臭さや古い木の味わいまで感じさせたほどでした。
これは、ワインの育成の過程が原因だったとも言われています。


再び上質なワインを作るようになったのは、1982年から。
カロン・セギュールは再び数年ごとに高い評価のワインを送り出し、一流のシャトーと見なされるようになりました。
近年では2005年のカロン・セギュールが傑作とされています。
もし運良く2005年ものを入手できたら、 早くても2015年までしっかり寝かせてから楽しまれることをお勧めします。

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