COLUMN

みどり宵(蔵八・房の露)

スペック

【生産地】 熊本県球磨郡

【生産者】 房の露堤酒造

球磨焼酎と房の露

球磨焼酎500年の歴史

焼酎「蔵八」は、熊本の球磨で造られる球磨焼酎です。
球磨地方は、熊本の東の九州山地に位置し、世界の産地名勝に選ばれた風光明媚な土地です。
その球磨地方で造られた焼酎だけが球磨焼酎を名乗ることが出来ます。

 

球磨焼酎は500年の歴史があります。
この土地は、四方を山に囲まれた盆地で、陸の孤島と呼ばれるほど交通の便が不便でした。
そのため、中世には幕府の年貢の徴収もままならないような場所でした。
しかし、自然はとても豊かなため、稲作が盛んで米はむしろ余るほど。
そうした様々な面で恵まれた環境のため、米を使った焼酎造りが行われるようになりました。

 

鹿児島から遠く、宮崎からも遠かった球磨盆地。
球磨焼酎造りの技術は、こうした閉ざされた世界で500年にわたり育まれてきました。
現在では、10万人の土地に27社の蔵元が存在するほどの焼酎の名産地となっています。

球磨焼酎を育む風土


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球磨盆地は寒暖の差が激しく、冬になると南九州としてはかなり寒くなります。
東京が0度の頃には、球磨は零下4〜5度になるほど。
実はこの寒暖の差というのは焼酎造りには大事な要件です。
焼酎の出来を決める麹作りは、温度が冷えた方がいいものが出来ます。
また、焼酎は蒸留酒なので、貯蔵していてもある程度気温の差が大きい方が熟成しやすいという特徴もあります。
常温であることが必須であるワインなどの醸造酒との大きな違いです。

また、水がとても豊かな土地でもあります。
球磨盆地の東西には球磨川が横切り、夏は毎日山の周りに激しい夕立が起こり、朝霧の発生は年に100回を越えます。
そのため、米や果物、お茶の栽培が盛んな地域となっています。
そして良い水質の水が豊富であることは、醸造業にとっても大事なことです。


市房山ノ露

Laphroaig Whisky Distillery

焼酎「蔵八」は、球磨の「房の露酒造」が造っています。
この房の露は、元々は明治時代に設立された「堤商店」に端を発します。


堤商店は、明治時代に球磨川沿いの人吉で堤重蔵によって設立され、当初は味噌と醤油を販売していました。

明治40年、堤重蔵は球磨川の上流の多良木に別の店を構え、新たに焼酎造りを始めました。
これが現在の房の露酒造です。


「房の露」という名は、最初の仕込みが行われた時期が近くの市房山に雪がかかる頃であり、蒸留酒は醸造の過程で露のように垂れてくることから、「市房山」の「露」との意味を込めて付けられました。
また、房の露を代表する焼酎「蔵八」は、初代社長の堤重蔵と、初代杜氏の歳八の二者の名を組み合わせた名となっています。

房の露のこだわり

原材料のこだわり

焼酎「蔵八」のシリーズは、麹が大事との考えから全て米麹が用いられています。
米の種類は、球磨郡内のものを中心に、醸造に向いた米が厳選されています。
芋焼酎や麦焼酎、蕎麦焼酎も、すべて米麹を元にして後から別の素材を追加する手法がとらています。

 

芋焼酎に使う芋は、自社畑で低農薬で栽培しています。
芋の種類は、一般的な黄金千貫だけでなく、2年ごとにしか獲れないシモン芋(インカ芋)や、希少な紫優(ムラサキマサリ)も使っています。

 

房の露では、既存のものでない原料も積極的に取り込んでいます。
芋焼酎造りは以前からやっていたものの、珍しい芋も取り入れて差別化を図っています。

また、そば焼酎は他社に先駆けて開発していました。
このような伝統こだわるだけではなく新しさへの取り組みも盛んな姿勢には、他の材料を使うことで技術の深化を図るという冷静な判断が根底にあります。

伝統と先進

初代の堤重蔵の孫である三代目の堤和弘社長は、技術を生かした新たな食中酒を開発し、視野を広げることで、500年の焼酎の歴史を更に発展させることが一つの使命であると考えています。
今後は、米焼酎の良さをどれだけ磨き上げるかを、原料にこだわらずに研究してゆく方針です。

 

房の露の焼酎造りは、伝統の技を継承しながらも、先進的な研究を取り入れています。
技術発展のため、東京農業大学や日本酒の蔵とも連携しています。
伝統に新しい風を吹き込むことで、両者をどのように融合させ、社会的なニーズにどう変化させていくかを、常に模索しているのです。
そのため、職人の平均年齢は他社よりずっと若く、新しい焼酎の歴史を創造してゆく意気込みを全員が抱いています。

房の露の焼酎

【本格米焼酎「蔵八」】
500年の伝統をもつ本格米焼酎と本格麦焼酎とをマリッジさせ造り上げました。
切れ味の良さから、食中酒として本場球磨地方では本格焼酎の中で最も愛飲されています。

 

【本格麦焼酎「特醸蔵八」】(みどり宵・麦)
麦焼酎の場合、通常は麦麹を使用することが多いのですが、米麹を使用し、酵母には白麹を使用しました。
それにより切れ味のよい麦焼酎に深みとまろやかさが生まれました。

 

【本格米焼酎「房の露」】
500年の伝統の本格米焼酎と米焼酎の最高傑作の吟醸焼酎とをマリッジさせることにより伝承の味の中にも、新しい典雅な香りと深みのある味わいを持たせた本格焼酎です。

 

【本格芋焼酎「房の露」】(みどり宵・芋)
黄金千貫を原料として、球磨焼酎の伝統の技を駆使して造り上げた芋焼酎です。
甘味が多く、切れ味の良い淡麗な芋焼酎に仕上がっています。
そのため食中酒としても大変好評です。
割水には日本で美しい川として環境庁より指定を受けた球磨川の深層地下水を用いました。

 

「焼酎一覧」『房の露株式会社』より)

 

※敬称略

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